
彼氏の態度が急に冷たくなった
彼氏の態度が急に冷たくなった。
そんな変化に戸惑っていませんか?
付き合い始めはラブラブだったのに、最近はLINEもそっけなく、デートも減ってしまった…。
「私、何かした?」と悩むあなたへ・・・
彼の態度が変わった理由が分からない
「お疲れー!」
教室の扉を開けて、廊下を歩いていた拓海を見つける。前なら私の顔を見るなり笑って「理香!」って駆け寄ってきたのに、今日はただ、ちらっと目を向けただけだった。
「あ、うん、お疲れ」
それだけ言って、足を止めることもなく去っていく背中を見送る。
私は笑ってごまかすみたいに「ふーん、忙しいのかな?」と呟いたけれど、心臓の奥がひどく冷えた。
最近、拓海の態度が明らかに違う。
LINEの返信はそっけなくなった。スタンプすら送られなくなった。電話をしようと言っても、「今はちょっと」と流されることが増えた。前なら、「理香に会いたい」と言ってくれたのに、今は私が誘わなければデートの話すら出てこない。
思い返せば、変化の兆しは少しずつあったのかもしれない。
最初の頃は、私たちはお互いに夢中だった。手を繋ぐだけで心臓がバクバクしたし、二人きりになれば自然と笑い合えた。だけど、いつの間にかその温度が私だけにしか残っていない気がする。
私だけが、まだ前みたいに彼を求めている。
彼の気持ちは、もう違う場所にあるのかもしれない。
でも、もしそうなら……どうして?
私は何かした?
拓海の態度が変わった理由を考えてみる。
① 他に好きな人ができた?
→ でも、そんな素振りはない。誰か特定の女の子と仲良くしている様子もないし、浮気の証拠みたいなものも見つからない。
② 単に忙しいだけ?
→ 彼は最近、部活の試合が近いと言っていた。勉強もあるし、確かに疲れているのかもしれない。でも、それなら「最近忙しいんだ、ごめんね」と一言くらい言ってくれればいいのに……。
③ もしかして、私に飽きた?
→ これが一番考えたくないことだった。でも、もしそうなら……。
彼の中で、私はもう「特別」じゃなくなったの?
このまま何も聞けずにいたら、少しずつ彼は離れていくんだろうか。
それなら、いっそ――。
私はスマホを握りしめて、意を決してLINEを打った。
「ねえ、最近なんか変じゃない? 私、何かした?」
返事は、三時間後にようやく来た。
「別に、何も変わってないよ」
そんなはず、ない。
冷たくなった理由と向き合う
週末、私は拓海に直接会って話をすることにした。
「会って話したいんだけど、時間ある?」
「いいよ」
あっさりとOKが出たのは意外だった。
待ち合わせ場所は、二人でよく来た公園。
ベンチに座って待っていると、拓海は少し遅れてやってきた。
「ごめん、待った?」
「ううん。……あのさ、単刀直入に聞くね。」
彼は私の顔を見て、小さく頷いた。
「拓海、最近冷たいよね? なんで?」
一瞬、彼の目が揺れた。
「……冷たいっていうか……うーん、何て言えばいいんだろう。」
「正直に言ってほしい。私、何かしたの?」
「違う、理香は何も悪くない。」
じゃあ、どうして?
彼は少しだけ視線を下げて、苦しそうに言葉を続けた。
「俺さ、最初は理香のこと好きで、すごく楽しかった。でも……最近、自分が本当に彼氏らしくいられてるのか分からなくなってきて。」
「彼氏らしく……?」
「付き合ってみたら、思ってたより『恋人』って難しいんだなって気づいたんだよ。」
私は言葉を失った。
彼は続ける。
「俺、理香が好きだし、一緒にいるのは楽しい。でも……最初みたいに毎日ドキドキするとか、ずっと一緒にいたいとか、そういう感情が少し薄れてきてて……。それって、恋人としてどうなんだろうって。」
「じゃあ……もう私のこと、好きじゃないってこと?」
拓海は、即答しなかった。
沈黙が、何よりも残酷な答えだった。
「……ごめん。」
その一言で、すべてを察した。
私は何もしていない。でも、彼の気持ちが変わってしまった。ただそれだけ。
理由を探そうとしたけれど、無意味だった。人の気持ちは、努力してもどうにもならないことがある。
「分かった。ありがとう、正直に言ってくれて。」
私の声は、思ったよりも震えていなかった。
彼の気持ちが離れたことに気づかないふりをするより、ずっとよかった。
拓海は申し訳なさそうな顔をしていたけれど、私はもう泣かなかった。
私は、ちゃんと前を向こう。
「……元気でね、拓海。」
そう言って、私は彼に背を向けた。
胸は痛いけれど、足取りはしっかりしていた。
恋は、終わることもある
彼の気持ちが変わったのは、私のせいじゃなかった。
そして、無理にすがりつくことも違うと思った。
恋は、永遠じゃないこともある。
でも、それでも――私はまた恋をするんだろう。
少しの涙をこらえながら、私は空を見上げた。